三角形格子のフォトニック結晶欠陥導波路の固有モード計算(2) -周波数を与えて伝搬定数を求めるFEMの場合-
前回、三角形格子の場合のフォトニック結晶欠陥導波路の固有値を2種類の方法で計算しましたが、どちらも伝搬定数βを与えて固有周波数を求める方法をとりました。
ここでは、周波数を与えて伝搬定数を求める方法で計算した結果を示します。
引き続き、誘電体ロッドからなる45°三角形格子(誘電体ロッドの屈折率n = 3.4、ロッドの半径r = 0.18a、a:格子定数)のフォトニック結晶から3ロッド取り除いた欠陥導波路を取り上げます。
計算結果
1stモード(偶モード)
2ndモード(奇モード)
3rdモード(偶モード)
三角形格子の場合、正方格子の場合に比べて固有値方程式の行列の条件が悪いようで固有値が求まらないことがありました。3rdモードのβ/k0が0.7付近の結果が抜けているのはそのためです。
固有値方程式は、βの2次の方程式なので線形化して一般化固有値問題として解きますがこの線形化方法は一意ではなく任意性があります。
[K] {Φ} + λ [C] {Φ} + λ^2 [M] {Φ} = {0} (λ = -jβ)
で、
{λΦ} = λ {Φ}
すなわち
[1] {λΦ} = λ [1] {Φ} [1]:単位行列
という式を導入して線形化するのが一般的だと思われますが、
[P] {λΦ} = λ [P] {Φ}
でもいいわけで、[P]をいろいろ変えても同じ固有値、固有ベクトルを計算することができると思われます。
この任意性を利用して、固有値方程式の行列を変更すると計算に失敗する周波数でも解けたりしました。ただ、どの周波数でも失敗しない定式化を見つけることができていません。
行列の条件数とか調べる必要があるのかな?うーん、難しい。
もう一点、今回の計算では、上記の固有モードの他に、不要と思われる第1ブリルアンゾーン外の固有値を持つ固有モードが実数固有値として得られました。
前提条件としてexp(- jβd)の項を仮定しているので、βd / (2π)が - 0.5から0.5の固有値以外は不要な解だと思われます。
行列が悪条件の為に発生しているのか、それとも数学的には意味のある解なのか、もう少し調べる必要がありそうです。
【追記】
周期構造領域を変えて計算してみましたが、計算できない周波数が見られます。
<周期を180°ずらした場合>
1次モード(偶モード)
2次モード(奇モード)
3次モード(偶モード)
<斜め領域の場合>
1次モード(偶モード)
2次モード(奇モード)
3次モード(偶モード)