ryujimiyaの日記

C#を使って数値解析したい

45°三角形格子誘電体ロッドフォトニック導波路90°ベンドの散乱係数計算-固有モード計算方法の比較-

これまでの実装より、周波数を与えて伝搬定数を求める周期構造導波路解析用FEMは、定式化としてΦを直接解く定式化とΦ=φexp(-jβx)と置く定式化の2種類、計算方法として反復による方法と全モードを取得する方法の2種類あることが分かりました。

ここでは、これら異なる固有モード計算方法で得られた界を使って伝達問題を解いてみます。

以前取り上げた45°三角形格子のベンドの散乱係数を計算した結果を示します。

TEモード、誘電体ロッドの半径r = 0.18a、誘電体ロッド屈折率n = 4.3で、3ロッド欠陥の導波路のベンドです。

  三角形格子フォトニック欠陥導波路90°ベンドの散乱係数のFEMによる計算

  http://ryujimiya.hatenablog.com/entry/2013/01/21/021129

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(1) Φ = φexp(-jβx)と置く方法で固有値を求める場合

実際の界Φをゆっくりと変化する界φに変換して解く方法で、緩慢変化包絡線近似(Slowly varying envelop approximaton: SVEA)と同様の手法といえます。

(1-1) 反復により固有値を求める方法で固有値を求める場合

 [K]{φ} -jβ[C]{φ} - β^2[M]{φ} = {0}の[C]の係数となっているβを既知量として、β^2の一般化固有値問題として解き、反復で精度を上げる方法です。

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三角形格子の場合、反復による方法は収束が正方格子の時に比べて遅く、また計算に失敗することもありました。以前の記事で示したのは次の全モードを求める方法で算出したものです。

 

(1-2) 全モードを求める方法で固有値を求める場合

 2次固有値問題を一般化固有値問題に変換して解く方法です。

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(2)Φを直接解く方法で固有値を求める場合

今回、新たに実装した方法です。

  周波数を与えて伝搬定数を求める周期構造導波路のFEM表示式(2) -境界節点界のみを用いる方法-

  http://ryujimiya.hatenablog.com/entry/2013/02/06/072204

で実装した固有値解析方法を伝達問題解析に組み込んでみました。

 

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Φ=φexp(-jβx)と置く方法とよく一致した結果が得られました。この方法は境界節点の界のみの固有ベクトルを求めるため、他の方法と比べると計算時間は短縮されました。

 

以上、誘電体ロッド型フォトニック導波路のベンドの伝達問題の計算結果から固有値解析方法としてはどの方法を採用してもほぼ同じ散乱係数が得られることが確認できました。