FDTDによるH面誘電体装荷共振器のSパラメータの計算(4) -単一軸完全整合層(UPML)を用いた場合-
前回まではMurの吸収境界条件を適用してH面誘電体装荷共振器のSパラメータを計算していました。現時点での最終結果を前回の記事に追記しました。
今回は、完全整合層を用いたいと思います。完全整合層にはいろいろなものがありますが、ここではFEMでもよく用いられている異方性媒質のPMLを用いたいと思います。単一軸完全整合層(Uniaxial Perfectly Matched Layer: UPML)と言うようです。
参考にした文献はこちら。
Srikumar Sandeep
"Broadband analysis of microstrip patch antenna using 3D FDTD - UPML"
http://sandeepkumar2006.tripod.com/FDTD3DPatchAntenna.pdf
Term paper ECEN 5134, Fall 2008, University of Colorado at Boulder
誘電体装荷H面導波管共振器
比誘電率分布
誘電体装荷導波管共振器の入出力にPMLを装荷します。PMLの層数は20とし、PML媒質の導電率σxは下記のような分布にしました。
σx = σxmax (|x - xi| / dpml) ^ 2 (i = 1, 2: ポート番号、dpml = 20 dx:PMLの厚さ)
σxmax = - 3 ε0 c0 ln( R(0) ) / (2 dpml)
R(0) = 1.0e-8
UPMLの導電率σxの分布
Sパラメータの計算結果
ガウシアンパルス励振時
Ez(t) = Ez(y) exp[ - (1/2) {(t - delay) / T }^2 ]
delay = 120 dt
T = 30 dt / √2
Murの吸収境界条件のときは、導波管の遮断周波数付近(2W/λが1.3以下)でかなり劣化した結果となっていましたが、今回のUPMLの結果はあまり劣化が見られません。やっと良好な結果が得られたようです。
<再掲:FEMの計算結果>
ガウシアンパルスの時間微分励振時
Ez(t) = Ez(y) { - √2・ (t - delay) / T } exp[ - (1/2) { (t - delay) / T }^2 ]
delay = 120 dt
T = 30 dt / √2
誘電体装荷共振器(UPML版) upml_wg2d_dielectric_filter.m
https://gist.github.com/ryujimiya/5424457
直線導波管(UPML版) upml_wg2d_straight.m
https://gist.github.com/ryujimiya/5424460
呼び出し側 main_upml_wg2d_problem01_2.m
https://gist.github.com/ryujimiya/5424467