集中質量近似を用いたスカラ時間領域FEMによるH面導波管の散乱係数の計算
前回、磁界ベクトルを用いた時間領域FEMで質量行列を対角化する方法を試しましたが、今回は縦方向電界Ezを用いたスカラFEMで質量行列を対角化して計算してみます。
三角形要素の質量行列は、
[M] = (Ae/12 ) [ 2 1 1 ]
[ 1 2 1 ]
[ 1 1 2 ]
ですが、rowベクトルの要素を足し合わせてそれを対角にセットすると
[M] = (Ae / 3) [ 1 0 0 ]
[ 0 1 0 ]
[ 0 0 1 ]
となります。これは集中質量行列といいます、
今回はこの集中質量行列を用いて計算した結果を示します。なお、入出力端は1次ABCを用いています。
H面導波管共振器
比誘電率分布
散乱係数計算結果(ガウシアンパルス励振)
Newmark β法で、β = 0.0として、係数行列を質量行列のみにした場合の結果を示します。この場合は、方程式を解くことなく計算できます。"unconditionally stable"ではないですが、磁界ベクトルのときよりは時間刻み幅は緩和されるのか、刻み幅 0.5⊿l / c0 でも問題なく説くことができました。
ただ、時間波形は結構振動しています。
なお、集中質量行列ではなく整合質量行列でβ = 0.0としたときの結果は次の通りでした。こちらは計算ステップ毎に方程式を解いています。
集中質量行列の場合の波形の振動はNewmark β法でβ = 0にしたことによるものではなく、集中質量近似によるものかもしれません、