edge elementsを用いた導波路のfull-wave固有モード計算の定式化と計算結果
1.はじめに
2次元導波路のfull-wave固有モードを計算するとき、通常の三角形要素(スカラ要素)だけでは、断面内の電磁界を表現できないのでedge elementを導入する必要があります。
2. 定式化
pdfにまとめました。
http://starlightparade.usamimi.info/ivyfem/doc/EigenEdgeElement.pdf?p=0
3. 空洞矩形導波管の固有モード計算
矩形導波管のモードはfull-waveではありませんが、full-waveとして計算し妥当性を検証します。
3.1. 電界ベクトルEを用いた定式化による計算
矢印はEt = (Ex, Ey)ベクトル、サーモグラフィはEzです。
基本モードのEはy成分だけしか存在せず、Ex = Ez = 0になっています。Eyはsin(c1x) (c1は定数)の分布になっていることがわかります。これは矩形導波管のTE10であることが分かります。
また、伝搬定数β/k0も理論値と一致していることが分かります。
3.2. 磁界ベクトルEを用いた定式化による計算
基本モードの磁界ベクトルHは、Hy = 0であり、Hxはsin(c1x)、Hzはcos(c2x) (c1,c2は定数)になっていることがわかります。こちらの計算でもTE10モードに対応していることが分かりました。
4. 遮蔽型マイクロストリップ線路の固有モードの計算
遮蔽ボックスの幅W 、高さH = (3/4) W
基盤の高さh = (1/4)W
ストリップ線路の幅s = 2h
基盤の比誘電率εr = 2.55
とします。
電界ベクトルEによる計算を行います。
高周波になるにつれて導波管モードからマイクロストリップ線路の固有モードになっていくことが分かります。
5.遮蔽型異方性誘電体導波路の固有モードの計算
遮蔽ボックスの幅W、高さH = 0.75 W
コアの幅s、高さhとすると
h = (1/4)H
s = 2 h
εxx = 2.31
εyy = 2.19
εzz = 2.31
クラッドの比誘電率は、ε = 2.05
とします。
電界ベクトルEによる計算をおこないます。
これは、規格化伝搬定数β/k0が.クラッドの比誘電率の(1/2)乗よりも小さい固有モードで、誘電体導波路のモードになりきれていない状態です。これは遮蔽ボックスを導入したために低周波で発生する現象です。
基本モードは、Ey がほとんど0でExが支配的であることがわかります。またExはコアの中心が最大となるような分布になっています。このモードはE^x_11に対応することが分かります。
6. まとめ
導波路のfull-wave固有モードの計算方法をedge/nodal elementsを用いて定式化しました。
計算の結果従来の知られているような固有モードが得られることが確認できました。