時間領域FEMによるH面導波管直角コーナーベンドの散乱係数の計算(Givoli-Neta-Patlashenko's High order ABC)
前回の記事で試したGivoli-Neta-Patlashenkoの高次吸収境界条件(High order Absorbing Boundary Conditions)を用いた時間領域FEMをDelFEM4Netで実装してみました。
今回は、前回の記事で用いた反復計算は行わないで、電界Ez、及び補助変数Φ1~ΦJ-1に関する方程式を連立して一括で解きました。
まず、前回解いたH面導波管誘電体装荷共振器をDelFEMで計算した結果は次の通りです。ABCの次数は5次です。入射波は、時間遅延T0 = 40 ⊿t、パルス幅Tp = T0 / 4√2のガウシアンパルス
EzInc(t) = E0(y) exp( - (t -T0)^2 / (2 (Tp)^2)
を用いています。E0(y)は規格化周波数2W/Λ = 1.5のときのTE10モードの分布です。また⊿tは
⊿t = 0.5 ⊿l / (√2 c0)
⊿l = W / 20 = 0.05W
です。
もう少しメッシュを粗くしても大きくは劣化しなかったのでその結果も示します。
⊿l = 0.09W
T0 = 20⊿t
としています。
Octaveで計算したときとほぼ同じ結果が得られました。
次に直角コーナーベンドを計算してみました。
ABCの波の速度cjはすべてc0として計算しています。
5次ABCの場合の計算結果
観測点の電界Ezの時間変化と散乱係数周波数特性
直角コーナーベンドの場合は、誘電体装荷共振器よりは解きづらいみたいです。
まず、観測点をベンド部からある程度離さないと、エバネセントな波がベンド部開口に残るみたいで散乱係数の周波数特性がおかしな結果になりました。
また、ABCの次数を上げることで特性を改善することができませんでした。
1次ABC
2次ABC
3次ABC
4次ABC
5次ABC
6次ABC
すっきりしないですね。
ちなみに周波数領域FEM(モード展開を使用)で散乱係数を計算した結果は次の通りです。