ryujimiyaの日記

C#を使って数値解析したい

フォトニック結晶ナノ共振器のFEM数値計算

Q値が45000に達するナノ共振器が下記文献に記述されていました。エアホールの欠陥による共振器ですが、共振器の側面のエアホールの位置を外側にずらすことで高Q値の共振器を実現しています。なぜこのような方法をとると高Q値が得られるのかについても定性的な説明がなされています。

Yoshihiro Akahane, Takashi Asano, Bong-Shik Song and Susumu Noda

"Development of high-q photonic nanocavity using two-dimensional photonic crystal slabs"

http://global-sei.com/tr/pdf/info/59-4.pdf

SEI TECHNICAL REVIEW no.59 January 2005

Sumitomo Electric Industries

 文献では3次元計算と実験による検証を行っています。3次元で扱わないとQ値増大のメカニズムは説明できなさそうです。(追記:Q値増大のメカニズムは2次元モデルで説明されています。共振器内の電界分布をスペクトル分解したとき"Leaky"な波数領域のスペクトルがなくなるようにすることでQ値を増大させているようです。)が、ここでは2次元FEMでこのナノ共振器の共振特性を計算して、文献と比較してみたいと思います。

基板にはSi基板を使用しているようなので、基板の屈折率n = 2.8としました。またエアホールの半径r = 0.29 a です。(a = 420 nm)

文献のFig.7にある構造をいくつか計算した結果を示します。

 ※上図はshift = 0.10 aのときの図面

(1) shift = 0.0 a

散乱係数

a/λ = 0.268 (λ = 1567 nm)のときの磁界Hzの実数部

(2) shift = 0.05 a

散乱係数

a/λ = 0.26725 (λ = 1572 nm) のときの磁界Hzの実数部

(3) shift = 0.10 a

散乱係数

a/λ = 0.26675 (λ = 1575 nm)のときの磁界Hzの実数部

(4) shift = 0.15 a

散乱係数

a/λ = 0.26625 (λ = 1578 nm) のときの磁界Hzの実数部

基板の実効屈折率はSi基板よりn = 2.8としましたが、このときの各形状の共振周波数はFig.7とおよそ一致した結果が得られました。文献によるとshift = 0.15 aのときが最もQ値が高いようです。

Q値とか求められたらいいのですが今後の課題ということで今回はここまで。

 

【2013-07-21】

境界上のdHz/dxの計算に誤差があったので修正し、散乱係数周波数特性を再計算しました。