ryujimiyaの日記

C#を使って数値解析したい

遮断導波路を用いたフォトニック結晶導波路マルチプレクサの特性計算

フォトニック結晶導波路でマルチプレクサを構成する方法の1つに異なるカットオフ周波数を持つ導波路を接続する方法があるようです。

(1) Tapio Niemi, Lars Hagedorn Frandsen, Kristian Knak Hede, Anders Harpoth, Peter Ingo Borel, and Martin Kristensen

"Wavelength-division demultiplexing using photonic crystal waveguides"

http://orbit.dtu.dk/fedora/objects/orbit:42425/datastreams/file_6473256/content

IEEE Photonics Technology Letters, vol. 18, no. 1, January 1, 2006

この文献(1)では、異なるカットオフ周波数の導波路を用いてマルチプレクサを構成し製作しています。文献(1)の手法をトリプレクサに適用した場合が次の文献(2)に記されています。

(2) He Ling-Juan, Xu Xu-Ming, Liu Nian-Hua, Yu Tian-Bao, Fang Li-Guang and Liao Qing-Hua

"Proposal of an Ultracompact Triplexer Using Photonic Crystal Waveguide with an Air Holes Array"

Chinese Phys. Lett. vol. 27, no. 8, August 2010

http://cpl.iphy.ac.cn/EN/article/downloadArticleFile.do?attachType=PDF&id=33353

https://docs.google.com/viewer?a=v&q=cache:95gxA5S4ngkJ:cpl.iphy.ac.cn/EN/article/downloadArticleFile.do%3FattachType%3DPDF%26id%3D33353+&hl=ja&gl=jp&pid=bl&srcid=ADGEEShJvLLN8RYXtCp3DztbiQdZk6vjeqwX6d9QMevdBO2iRyKmlipLIRHHqQ8efrK3SmV7C-sFotAy93QRarN_ZSl9pPNaAMkZYEZExFFtdXf-dz5cCuwYRUYBKIQTjkSzovnkN2s6&sig=AHIEtbR-2vJSxD7ScAZuk4GdZMO7_H_2Jg

文献(2)の回路の1段目の特性を数値計算してみました。まず使用する導波路の固有モードの数値計算結果を示します。

フォトニック結晶導波路の欠陥部に面するエアホールを大きくするとカットオフ周波数が高周波側にシフトするようです。文献(2)のFig.1に載っている導波路の分散特性をFEMで計算した結果は次の通りです。RB:欠陥部に面するエアホール(1列目のエアホール)の半径です。なお、エアホールの半径r = 0.32 a、基板の屈折率 n = 3.476です。

 RB = 0.32 a ( = r)

 RB = 0.375a

 RB = 0.40a

 

文献(2)では、これら3つの導波路を使用してトリプレクサを構成しています。ここでは、その1段目、つまりRB = 0.32aと0.375aの部分の特性を計算してみます。

文献(2)では、1段目右側出力はRB = 0.375aのままですが、ここでは解析の都合上、RB = 0.375aの導波路の長さを7aとし、その後、RB = rの導波路に戻して計算しています。上側導波路と入力導波路の接合部の上下のエアホールは文献(2)に従い 上側はR1 = 0.206a、下側はR2 = 0.294 a としています。

散乱係数の周波数特性計算結果

a/λ = 0.228より低周波の領域では、右側導波路(RB = 0.375a)がカットオフなのでほぼポート2への出力されず、ポート3のみに出力されています。一方、a/λ = 0.228より高周波の領域では、右側導波路も伝搬可能となるのでポート2へスルーする出力が支配的です。

a/λ =0.22のときの磁界Hzの実数部

a/λ = 0.22のときの磁界Hzの絶対値

a/λ = 0.23のときの磁界Hzの実数部

a/λ = 0.23のときの磁界Hzの絶対値

今回は1段目しか計算できませんでしたが、遮断導波路を用いたマルチプレクサの基本動作を確認することができました。

 

 【2013-07-21】

境界上のdHz/dxの計算に誤差があったので修正し、散乱係数周波数特性を再計算しました。