スルーチャンネルにベンドを設けたエアホール型フォトニック結晶方向性結合器
これまではドロップチャンネルの導波路にベンドを設けた構造の方向性結合器を扱っていましたが、今回はスルーチャンネルの導波路にベンドを設けた構造を数値計算します。
エアホール型フォトニック結晶で、エアホールの半径r = 0.3a、基板の屈折率 n = 3.4です。入射光はTMモードを仮定しています。
結合長7.5aの方向性結合器
散乱係数の周波数特性
入力側をポート1、スルー出力ポートをポート3、ドロップ出力ポートをポート2としています。計算の結果、a/λ = 0.221~0.223にドロップ出力が現れました。
以前計算した2チャンネル結合導波路の完全結合長(下に再掲)を参照すると、7.5aとなるのはちょうどa/λ = 0.222あたりで、これは散乱係数の計算結果と一致しています。
広帯域ベンドを設けた方向性結合器
ベンド部に3つのエアホール(半径rb = 0.14a)を設けた場合
ベンド部を2つのエアホール(rb = 0.16a)で共振器にした場合
どちらもスルー出力の周波数特性が大幅に改善されました。それに比べてドロップ出力は大きな変化はありませんでした。
【Appendix】
ベンド初期構造
3つのエアホール(半径rb = 0.14a)を設けた場合
2つのエアホール(rb = 0.16a)で共振器にした場合
なお、これら広帯域ベンドは下記文献を参考にしています。(文献ではエアホール半径r = 0.29、基板の屈折率 n = 2.76の場合が取り上げられています。)
Zhen Hu, Ya Yan Lu
Improved bends for two-dimensional photonic crystal waveguides
http://math.cityu.edu.hk/~mayylu/papers/huzhen5.pdf
Optics Communications
vol. 284, Issue 12, 1 June 2011, p. 2812 - 2816
以前FEMで計算した記事:
三角形格子フォトニック結晶導波路60°ベンドの広帯域化(3)
http://ryujimiya.hatenablog.com/entry/2013/02/21/020805
【2013-07-21】
境界上のdHz/dxの計算に誤差があったので修正し、散乱係数周波数特性を再計算しました。