ryujimiyaの日記

C#を使って数値解析したい

フォトニック結晶ナノ共振器のFEM数値計算(2)

フォトニック結晶を用いた共振器で1点だけエアホールを取り除いた構造のものが下記文献に載っています。この共振器の界分布は6つの極を持つ対称性の良い分布となりQ値も高いようです。

Han-Youl Ryu, Masaya Notomi, Yong-Hee Lee

"High-quality-factor and small-mode-volume hexapole modes in photonic-crystal-slab nanocavities"

http://www.slac.stanford.edu/grp/arb/tn/arbvol5/AARD457.pdf

Applied Physics Letters volume 83, number 21, 24 November 2003

ここでは、文献のFig.2(b)の共振器に入出力導波路を結合して伝送特性を計算してみます。エアホールの半径 r = 0.35 a、基板の実効屈折率は n = 2.8とします。文献では3次元構造でシミュレーションしているので実効屈折率は使用していませんが、Fig.3(a)のフォトニックバンドギャップ(PBG)の記載からn = 2.8としました。「PHバンド」でPBGを計算した結果は次の通りです。

 

計算する六重極共振器の図面は以下の通りです。共振器を囲むエアホールの半径 rM = 0.25 a です。

散乱係数の周波数特性

多モード伝搬領域の前に2つ共振点がありますが、1つ目は2極のモードで2つ目が6極のモードでした。

a/λ = 0.279

a/λ = 0.308

文献のFig.3 (a)の rM = 0.25 aを参照すると共振周波数はほぼa/λ = 0.300なので、やや高周波側にずれた結果となっていますが、共振器内の磁界Hzの分布は文献と同じような6極の対称性のある分布が得られました。

Fig.3 (a)に載っている他のサイズのエアホールにした場合の計算結果を下記に示します。

rM = 0.20 a (共振点は a/λ = 0.287)

rM = 0.225 a (共振点は a/λ = 0.296)

rM = 0.275 a (共振点は a/λ = 0.326)

rM = 0.300 a (共振点は a/λ = 0.347)

rM = 0.325 a (共振点は a/λ = 0.372)

 

【2013-07-21】

境界上のdHz/dxの計算に誤差があったので修正し、散乱係数周波数特性を再計算しました。