フォトニック結晶導波路の伝達問題(3)-複数モードの場合の検証-
フォトニック結晶導波路の場合1つ欠陥部を増やすだけで複数のモードが伝搬する構造になるので複数モードの場合の検証をしてみようと思います。
固有モード解析で取り上げた2チャンネルカプラー(フォトニック結晶導波路の固有モードの周期構造解析用FEMによる計算(2))の直線部分を伝達問題として計算してみました。
Cad図面
ロッドの中央に頂点を設けているのは以前言及したとおりですが、今回は2チャンネルの結合部の2つのロッドの間にも頂点を設けました。これは中央の中空部分のメッシュの対称性を改善するために設けました。これがないと高次モード(この構造では奇モード)が伝搬する周波数領域の一部で基本モード(偶モード)と干渉しておかしな結果が得られることがありました。
左右の境界の電界を伝搬可能な高々2つの固有モードの重ね合せで表現しました。
計算結果(偶モード入射)
偶モード(基本モード)を左端から入射したときの計算結果を示します。
散乱係数の周波数特性(偶モード入射)
電界Ezの実部Re(Ez)の分布(偶モード入射)
2W/λ = 10.9 (a/λ = 0.371)(偶モード入射)
電界Ezの絶対値|Ez|の分布(偶モード入射)
2W/λ = 8.9 (a/λ = 0.317)(偶モード入射)
2W/λ = 9.28 (a/λ = 0.331)(偶モード入射)
2W/λ = 10.90 (a/λ = 0.371)(偶モード入射)
2W/λ = 11.90 (a/λ = 0.425)(偶モード入射)
2W/λ = 9.28以降は、高次モード(奇モード)も伝搬可能となりますが、不連続がないので当然偶モードのまま出力端まで伝搬していることが確認できます。
また奇モードに対する散乱係数も計算していますが伝搬可能な領域での|S11|、|S21|は10^-3程度でした。(電力にして10^-6のオーダーです)
計算結果(奇モード入射)
奇モード(高次モード)を左端から入射した場合の結果です。高次モードの入射に対応できているか確認しました。
散乱係数の周波数特性(奇モード入射)
電界Ezの実部Re(Ez)の分布(奇モード入射)
2W/λ = 10.90 (a/λ = 0.371)(奇モード入射)
電界Ezの絶対値|Ez|の分布(奇モード入射)
2W/λ = 9.28 (a/λ = 0.331)(奇モード入射)
2W/λ = 9.32 (a/λ = 0.333)(奇モード入射)
2W/λ = 10.90 (a/λ = 0.371)(奇モード入射)
2W/λ = 11.90 (a/λ = 0.425)(奇モード入射)
奇モード入射時の場合、遮断周波数ですでに偶モードが伝搬可能ですが、今回計算した構造では不連続部はないので偶モードへのモード変換は発生していないことが確認できます。散乱係数も偶モードの|S11|、|S21|は10^-3程度でした。