フォトニック結晶導波路の伝達問題(2)-90°ベンドフォトニック結晶導波路の散乱係数の計算
前回の記事
フォトニック結晶導波路の伝達問題
http://ryujimiya.hatenablog.com/entry/2012/12/15/061142
の続きです。
フォトニックバンドギャップを利用したフォトニック結晶導波路の90°曲がりを計算してみました。
引用元
(1) Attila Mekis, J. C. Chen, I. Kurland, Shanhui Fan, Pierre R. Villeneuve, and J. D. Joannopoulos
"High Transmission through Sharp Bends in Photonic Crystal Waveguides"
volume 77, number 18, Physical Review Letters, 28 October 1996
(2) 財団法人電気学会, “計算電磁気学”, 培風館, pp.93-pp.95,2003-07-21
3.2.5. フォトニック結晶導波路解析への応用(小柴正則)
散乱係数(|S11|、|S21|)の周波数特性
文献(1)とよく似た結果が得られました。なお、文献(1)の"Reflection Coeficients"は電力反射係数のようです。(|S11|^2に相当する)
z方向電界の絶対値の分布
2W/λ = 7.3 (a/λ = 0.332)
2W/λ = 7.6 (a/λ = 0.345)
2W/λ = 8.0 (a/λ = 0.364)
2W/λ = 8.6 (a/λ = 0.391)
2W/λ = 9.1(a/λ = 0.414)
2W/λ = 9.6 (a/λ = 0.436)
90°ベンドフォトニック結晶導波路(コーナのロッド欠陥を1つずらしたもの)
コーナーのロッド欠陥を1つずらして透過特性を改善した90°ベントを計算します。
引用文献(1)のFig.2及びFig.4のL = 1.33√2 aに相当します。またこの形状は文献(2)でも取り上げられています。
図面
散乱係数(|S11|、|S21|)の周波数特性
フォトニックバンドギャップ周波数帯の中ほどに反射が0になる点があったり、高周波側に反射の最大となる点があったりといった特徴は確認できます。
今回の計算結果では反射係数が0の点はa/λ = 0.364です。文献(1)ではa/λ = 0.353のとき反射係数が0となっています。
反射係数の最大点はa/λ = 0.424のときで、|S11|max = 0.2756、つまり(|S11|^2)max = 0.076でした。文献(1)ではa/λ = 0.42で|S11|^2 = 0.9となっています。
z方向電界の絶対値の分布
2W/λ = 7.38 (a/λ = 0.335)
2W/λ = 8.0 (a/λ = 0.364)
2W/λ = 8.1 (a/λ = 0.368)
2W/λ = 8.6 (a/λ = 0.391)
2W/λ = 9.1 (a/λ = 0.414)
2W/λ = 9.32 (a/λ = 0.424)
2W/λ = 9.6 (a/λ = 0.436)
なお、計算にはDelFEMライブラリを使用しました。DelFEMは1次補間の三角形しか対応していないので上記計算も1次補間の三角形の計算結果です。
計算精度の点ではまだ充分といえませんが、モード展開による周期構造導波路の伝達問題の定式化の検証はできたと思います。
では。