三角形格子フォトニック結晶導波路60°ベンドの広帯域化(3)
引用元
Zhen Hu, Ya Yan Lu
Improved bends for two-dimensional photonic crystal waveguides
http://math.cityu.edu.hk/~mayylu/papers/huzhen5.pdf
Optics Communications
vol. 284, Issue 12, 1 June 2011, p. 2812 - 2816
エアホールの半径 r = 0.29 a、基板の屈折率 n = 2.76です。こちらの文献にも広帯域化(1)と同じようなベンド部に小さいエアホールを追加する構造が掲載されています。
(1) 小さいエアホール(半径 r = 0.14 a) を3つ並べた構造
文献のFig.1 (c)の構造です。
散乱係数の計算結果
特性はフラットになり改善されますが、全体的に反射は高めです。なお、今回の計算結果は文献と比べると反射が大きいようです。
(2)ベンド部をエアホールで挟む構造 (小さいエアホール半径 r = 0.1627 a)
文献のFig.1 (g)の構造です。
散乱係数計算結果
こちらはa/λ = 0.270以降はほぼ|S11| = 0.1程度になっており、電力透過率は99%で理想的な特性に近いといえます。文献ではほぼ100%の電力透過率であることが示されています。
(3)その他
広帯域化ではないですが、下記文献では帯域を低周波側に移動する方法としてベンドの外側エアホールを小さくする方法が記されています。
野田 進
http://www.jst.go.jp/kisoken/crest/report/sh_heisei12/denshikoushi/noda.pdf
平成12年11月~平成17年10月
図122(c)に60°ベンドの構造が掲載されています。透過率90%以上の透過域a/λ = 0.270~0.273をこの構造にすることでa/λ = 0.266に移動させているようです。
文献では3次元構造で計算しているようですがここでは2次元構造で計算してみました。エアホールの半径 r = 0.29 a、基板の屈折率 n = 2.76 とし、小さいエアホールの半径を r = 0.18 aとしました。
散乱係数計算結果
元の構造では、a/λ = 0.276に共振点がありましたが(http://ryujimiya.hatenablog.com/entry/2013/02/08/213651の(2)の構造)、それがa/λ = 0.270 に移動しています。帯域は狭くなっているようですが、共振点を調整する方法としては機能しているようです。
【2013-07-19】
境界上のdHz/dxの計算に誤差があったので修正し、散乱係数周波数特性を再計算しました。