1.はじめに
前日の記事で時間領域FEMの完全整合層(PML)を定式化しました。
この記事ではこの定式化を用いてH面導波管直角コーナーベンドを計算した結果を示します。
2.直線導波管(時間領域PML)
PMLの精度を調べるために直線導波管の計算結果を示します。
ダークグレイの領域が解析領域、白っぽい部分がX方向PMLです。解析領域内部の縦線は左から励振面、ポート1観測面、ポート2観測面です。
右の方に伝搬する波が反射なく吸収されていく様子が見れます。
フーリエ変換を施して、ポート1を基準にしたポート2の振幅の比(疑似的な|S21|)を求めた結果です。ほぼ1.0になっていることがわかります。しかし、ある程度の誤差は含んでいます。
3.直角コーナーベンド(時間領域PML)
X方向PMLおよびY方向PMLを用いました。
波が直角コーナーにぶつかって入力側と出力側に分かれて伝搬している様子が見れます。
直線導波管のポート1のフーリエ変換振幅を基準にし、直角コーナーベンドのポート1、ポート2のフーリエ変換振幅から反射係数|S11|、透過係数|S21|を求めた結果です。
低周波領域でやや誤差が大きいようですがこれまでに他の方法で計算した直角コーナーベンドの結果と一致しています。
4.直角コーナーベンド(周波数領域PML)
このセクションだけは周波数領域FEMの結果です。周波数領域FEMでPMLを用いて直角コーナーベンドを計算した結果を示します。
周波数領域FEMでPMLを用いた直角コーナーベンドの|S11|、|S21|の周波数特性は他の解析方法とよく一致しています。
5.まとめ
時間領域FEMのPMLを用いて直角コーナーベンドを計算しました。比較のため周波数領域FEMのPMLを用いた計算も行いました。